前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

子供たちの涙 〜日本人の父を探し求めて

ドキュメンタリー映画「子供たちの涙〜日本人の父を探し求めて〜」



渋谷アップリンクで視て来た。今日は上映後に砂田監督と来日中のオランダ戦争資料研究所(NIOD)の研究員とのトークもあり。


太平洋戦争時の日本占領下インドネシアで、日本兵と現地女性との間に生まれた子どもたちの長い戦後と苦悩を、丁寧に取材記録した作品。重たいテーマなのに全編を通して柔らかい眼差しの中編ドキュメンタリー。前作からすでに双方の国の人達に観てもらえるように作ったという。


在オランダ日本大使館前で日本政府へ抗議している元捕虜の老白人の憑かれた眼差しと「原爆投下に感謝してる」と強い口調・・・、併映された「兵隊だったおじいちゃんへ」では入れられなかった暗部の、補完にもなっている気が。


自分が90年頃にインドネシアスラウェシ島をぼんやり旅していた途中に泊まった安宿で、刺す様な眼差しで「ポットン・ボレ(首切り)」と怒鳴られたことを思い出した。彼らは占領下で日本兵に殺された遺族なんだろう。


通りすがりの旅人ならそれほど心に傷は負わないけど、生まれながらに周囲から拒絶され、移住先のオランダでも周囲からタブー視され、家族と居ても何かに隔てられた子どもが、成長し家庭を持ち老いながら、誰にも言えないまま、独り自らの存在の意味と、日本人の実父に捨てられたのかという問いを限りなく繰り返して来た長い歳月、凝縮された言葉はどれも短くて強い。


約7年前に砂田監督が出会った、日本国内で彼らに代わって肉親探しに奔走している元日本兵内山馨さんの尽力は計り知れない。