前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

日本と戦った日系人〜GHQ通訳・苦悩の歳月〜

BS特集で録画分を視る。高齢者としてどんどん亡くなって行く今だからこそ、長い守秘義務から少しずつ証言を始めた重たい記録。


米軍は真珠湾攻撃の数ヶ月前に在米日系二世数百人を秘密裡に面接して情報戦用の陸軍語学学校(MIS)を開設していた。開戦後の日系人強制収容からは米国に忠誠を誓う志願兵を大量に募り、実戦部隊はヨーロッパの激戦地へ送られ多数の犠牲者を出す。MISは太平洋戦争各地で瀕死の日本兵捕虜を尋問したり、押収した作戦書の翻訳にあたっていた。ハリー・フクハラ氏は原爆が落とされた第一報に「本土決戦を避けられる」と安堵したという。降伏を恥と教えられ身体が骨と皮になってまでも抵抗する日本人を見ていたからだろう。実際は彼の肉親が住むヒロシマに落とされていた。


後半では占領統治での証言集。自衛隊の前身である警察予備隊創設時、既にGHQ内部で国内防衛VS米軍と連携の強い対立があった。2005年に亡くなったマッカーサー直属の通訳をされていた故人の映像証言から、昭和天皇マッカーサーからの非公式メッセージ(陛下を支持しながらも退位するかしないかを自身の決断に求める微妙な内容)を伝えた時のことが語られている。


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未来の今から「戦争がいけないのだ」など大雑把な巷のセリフは、等身大の記憶の前には侮辱にも思える。21世紀の今も安売りのように叫ばれる「売国奴」「国益」も、戦後の芸者パーティに悪びれもせず元気に写っている大本営参謀の連中には届かない。むしろ戦後再構築のなかでそれを叫ぶ側に居た。占領下でのG2/G3、キャノン機関の活動と戦後の有力者のエピソードは謀略論が多くて素人の自分には難しい。