前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

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南アフリカ関連の本

南アフリカ 白人帝国の終焉―ポスト・アパルトヘイトと民族和解のゆくえ

南アフリカ 白人帝国の終焉―ポスト・アパルトヘイトと民族和解のゆくえ

アパルトヘイト廃止直前から現地特派員として赴任した著者の伝えたかった報告として読む。
マンデラを釈放して更に国民総選挙で政権を委譲した元大統領のデクラークを中心に複雑な経緯が語られる。当時の日本の国際ニュースではマンデラ主役で伝えられていた記事ばかり、人権問題を解決する記号だったのか偉人伝の創作だったのかと考えさせられる。
南アの兵器産業の輸出が堅調な事が書かれているが、アパルトヘイト廃止以後〜南アはメディアで取上げられなくなっている。


本のタイトルは黒人政権が現実的に白人の経済力に頼らざるをえない強弁から採っている、と思う。おそらく帝国は変質して終焉はしない。




稚拙な世界観かもしれないけど、南アのオランダ系白人の創った国の様相は、本国オランダに似ているような気もする。棲み分けを強制されたか、自発的かの違いで。オランダは民族ごとの棲み分けがされていて、それぞれ宗教施設にも国の助成金が出るという。コミュニティ単位の行政だけでなく、ドラックの自由など個人主義の行き着く袋小路か判らないが。


カラシニコフ

カラシニコフ


世界で一番使われているソ連時代の自動小銃AK47をめぐるアフリカ紛争地のルポ。
取材当時にまだ設計者のカラシニコフが存命で元気なのも驚いた。
悪魔の銃という陳腐なコピーは要らない。部品が少なくて雑に扱っても故障が少ないのはソ連時代の兵器設計の基本だと思う。弾薬の末端価格が上ったら紛争件数が減った話、所持している銃と引き換えに教育を受けられる銃回収プログラムでも他の銃と比べてAKの回収率は少ないという。
アフリカでの少年・少女兵の境遇、理由も無く手首を切り落とされた人々、シエラレオネでの日本人シスターの受難など。
希望的な一例としてソマリランドでの民間に銃の無い社会の管理と試行も取材している。


第5章 襲われた農場
南アフリカ社会の治安について書かれている。アパルトヘイト廃止後に都会に流入して来た黒人を嫌って郊外に移り住んだ白人コミュニティの現状と不安、一方で都心の一画で監視カメラの徹底活用から警備強化された地区に企業が戻ってくる現象も起きている。