前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

シリーズ民主主義

年末から正月にNHKで放送された33カ国共同制作『民主主義』WHY DEMOCRACY? 
全10本を録画で視た。テーマは 民主主義とは何か?33カ国参加といっても各50分の10人の監督作品。
●Why Democracy net(英語)
●NHKの番組サイト



地上の民主義を考えるという無謀なテーマの10本、誇大妄想に騙りそうなのを抑えつつ感想を出力してみる。


よくワカラナイ。作品の意図が分らない第一位はロシア篇。愛国者の村』 
邦題は『社長!御宅訪問』にしてほしかった。実業家セルゲイ・モロゾフが郊外に作った村は誰もが彼の命令に従う新生ロシア村。何処にでも居るよなぶよぶよワンマン社長の新興宗教か・・・と思いきや政治家やロシア正教会とも繋がりがある。でも何の実業家だか紹介が無い。公に言えない業種なのかな。皇帝に跪くよな古の農奴じゃなく民主主義に意見語るロシア市民も多いのに残念。プーチン政権下での番組作りは規制が厳しいのだろうかと推測。


上手な作りだと思ったのはパキスタン篇。『大統領との晩餐』 
ムシャラフ大統領に食事に誘われてのインタビューに、テント暮らしの老夫婦の食事風景、慢性失業に怒る男達、自由を謳歌する資産家の若者達、あらゆる階層の人々の暮らし、言葉の断片を短く繋げている。ムシャラフは弁が立つ。西側のリーダー達が説得されるのも納得・・・、リベリア『女の内閣』での女性首相にも言えるけど。


気になったのは、共同監督でもあるパキスタンの女性ジャーナリスト、サビハ・スマルが例を出して言う、老人男性のところに幼女が無理やり嫁がされるイスラム社会の話は、まるで変質者のハーレム呼ばわり。養子や亡き友人の老いた妻を娶るような生活を助ける為の入籍も多いはず。イスラームを誤解させるイメージ、それはデンマーク『風刺画事件を追って』にも視られる。怒る異教徒はネタとして愉しいのか?表現の自由には一方的な誹謗中傷を含まないはず。最後にイスラム教を風刺した雑誌が、ユダヤ教を風刺できないジレンマを映していたので幾分は救われたけど。アメリカ篇もタイトルを『テロリストの作り方』にでもしてほしかった。



出来すぎだと思ったのは中国篇。『こども民主主義』 
面白いんだけど、ほんとの主役は警察勤務のパパ、選挙のプロかと思った。小学校3年のクラスでの委員長を選挙で選ぶ実験。あらかじめ先生が決めた候補者3名それぞれ親の介入で噺は進む。運動の助手、討論とネガティブキャンペーン有権者への贈与、職権乱用、選管ともいえる先生の微妙なジャッジ。民主主義の改善すべきポイントが次々出てくる。
ただ親の職業からみてもこのクラスの児童は世間では上流階級だと思う。


日本篇の『選挙』 は外国の映画祭でも話題になった120分映画の縮小版だったので、どうにも内容が薄い。外人には日本の選挙活動が充分ヘンテコで笑える(笑われてる)かと思うと結構情けない。でも2005年当時の異常な小泉旋風を思い出すと隣人達にも腹が立つ!現在のねじれ国会、つなぎ・・・ってこの状況に煽動したマスコミ関係者がまだ偉そうに言うし。


インド篇・・・はガックリ。またカレーかよ!と同じレベルでまたガンジーかよっ!
ガンジーマザーテレサのふたりをやたら褒める外人は、『踊るマハラジャ』一本観ただけでインド映画を小馬鹿にしてるのと変わらない。そういう意味ではボリビア篇、何も知らない自分に呆れた。


今回のシリーズで目立ったのはイスラム模様と女性の活躍かなと。女性の活躍とはいえエジプト篇は民主化運動が金持ちの道楽みたいな終わり方で困った。デモ参加を呼びかけておいて投獄された貧乏人を助けないし。