前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

独裁体制から民主主義へ 〜権力に対抗するための教科書

先月末から台湾立法院を占拠した大規模な学生運動と20万人以上ともいわれるデモの手法がとても新鮮でスマート。人力とネットを活用したというだけでは説明出来ない見たことがない手法がどんどん出てくる、多分こちらの頭が古いのだろう。で、猛烈に読み返したくなった。


抵抗運動でシンボルカラーを作る、デモ隊を抑える為に動員された兵士や警察隊には老人や女性を前面にして笑顔で花を送る(同じ独裁政権の被害者として取り込む)、等々・・・「アラブの春」の3年ほど前にBS1世界のドキュメンタリー「非暴力革命のすすめ ジーン・シャープの提言」が何度か放送されて、関心を持ってシャープ博士の研究所がWeb公開している「非暴力行動198の方法」日本語訳を探した。出版社が書籍化されるより前に訳されてUPしていた方がいたのでありがたく読んでみた。
夏の扉へ ブログ
http://durchschreiten.blogspot.jp/2012/03/198.html


ドキュメンタリで取り上げた事例はかなり感心するも、原文の通りの列記は具体的にどういう行動なのか絵としてイメージが沸かない部分も多いなと。とはいえ自分にとってはとても違和感のあるガンジーの非暴力抵抗運動の「精神」とは次元の違う、最終的に民主主義を勝ち取る為の常にアップデート可能な戦法なのだと思う。ただ、「(犠牲者のシンボルとして)死者をたたえ弔う」セレモニーなどは、選択肢なしの自爆テロ焼身自殺の連鎖を生んでしまう危険を感じてもしまう。独裁政権が残忍性を発揮する場合には、非暴力行為を維持するのは大変難しい、これを避ける為の策は「ユーモア」の活用などもっとあっていいと思う。今も世界各国の紛争地で試行錯誤しながら無制限の犠牲の中でも新たな成功事例はあるだろう。


独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書 (ちくま学芸文庫)

独裁体制から民主主義へ―権力に対抗するための教科書 (ちくま学芸文庫)


手法の列記だけでは分からないアプローチの源泉がわかりやすく書かれていると思う。とはいえ「おまかせ民主主義」に長く浸かった自分には、そのほとんどを体感するレベルには居ない。日本国内のデモや抗議行動も脱原発以降は色々な試行錯誤がされている。特定政党や労働組合の旗を上げない官邸前脱原発抗議、代替案をコールするエネルギーシフトパレードや、強い口調を使わないママデモ、等々。
台湾の第四原発稼働阻止行動の規模の大きさや人気アーティストの豪華共演など、台湾のしなやかな市民運動から教わることが多すぎる。
http://youtu.be/-xZYuYQnyC8