前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

カムチャッカのコリヤーク

牛山純一20世紀の映像遺産から
『甦れ カムチャッカ 〜極東先住民のルネサンス』1992年制作を視る。
制作年は【すばらしい世界旅行】終了後なのがナゾ。ナレーションが森山周一郎


ユーラシア大陸の北東端から突き出たようなカムチャッカ半島の付け根、ロシア・コリヤーク自治管区 東のベーリング海に面した人口600人(コリヤークとロシアの半数づつ)のカラガ村でソ連時代に長年途切れていたコリヤーク族 Koryakのホロロ祭りを再現させ取材したもの。



ホロロ祭りは秋に山の幸と海の幸に感謝する収穫祭、華やかな民族衣装の踊りやシャーマンによる治療、サケとアザラシと灰色ヒグマの犠牲祭、輪廻の儀式も持つ。陸の神、灰色ヒグマの方は1週間の狩りで結局仕留めることに失敗、海の神アザラシの方は昔ながらの猟で、河口の両端から網を広げ逃げ場を狭めて干潮に逃げ遅れた個体をモリで突く。祭りに招く客としてアザラシの解体は『服を脱がす』といい、切断した頭には老女が歓迎の草をかけて火に燻す。下あごの骨には陸で採れたごちそうを草で絡ませてもてなし、海の暮らしで憧れているとされる真水を掛け、また来年も来てくださいと言いながら火にくべる。
魂還しはアイヌを含め北方民族の共通儀式なのかと思う。


絶滅したシャーマンには男性が演じ、野つみで採った毒性のキノコが入ったジュースを飲んで、太鼓のリズムに踊りながらトランス状態に入っていた。
公民館で行なわれていた祭りでは、歌や踊り、会食、腕比べな遊び。仮面の悪霊を追い出す儀式もあり盛り沢山。


スターリン時代の民族粛清、漁業コルホーズの労働などソ連時代に長く途切れていた祭りの再現には、20世紀初頭に採取されたロシア人民俗学者の資料からの研究者の助言、協力を得ていた。
彼らの歌や踊りはコリヤーク語で行われているが、日常はもうロシア語になっている。
熊撃ちに失敗した50歳猟師・・・言葉少ないロシア語での昔話がなぜだか沁みる。



http://www.koryaks.net/history.html コリヤーク ネット(英語・画像多し)


国立民族博物館 みんぱくサイトで読めるホロロ祭りの研究 PDFファイル
http://www.minpaku.ac.jp/research/sr/15251012_oshima.pdf
番組ではサケ漁の激減を伝えていた。トナカイ放牧のコリヤークと海岸コリヤークという分け方も知る。
http://www.minpaku.ac.jp/research/sr/15251012_watanabe.pdf