前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

進化しすぎた脳

副題・中高生と語る[大脳生理学]の最前線
高校生8名を相手に対話しながら、若い研究者である著者が4回にわたって脳の研究を講義した記録。
面白くて解りやすいと評判の本も、後半の自分の理解度では赤点スレスレかと。


講義で関心を惹いた箇所を書き出すと、
●脳はあいまいな事象を汎化する性質をもつ。(個性というか誤解というか省エネというか)
●一部分は見えない状態での盲視、騒音の中での会話など情報の欠落を無意識下で補填する。
神経細胞ネットワークのシナプスを伝達するナトリウムイオンの波が約100回交差しただけで、複雑な言語処理も秒速で可能にする『脳の100ステップ問題』


●神経毒の具体的症例では、サリン事件の被害者の一部が、アセチルコリン阻害で一時的に失明したり、過去のさまざまな記憶が絶え間なく甦ったりして苦しんだという。


巻末の同じ研究室の研究員との対話で、
●細胞レベルでは日々入れ替わる身体のなかでも、脳には再現性がない。二度と同じ状態にはならない、ということは、厳密には追試の科学実験ができないという事にも言及している。