「天皇と軍隊」
天皇と軍隊 公式サイト
パリ在住で主に欧州のTV向けに番組を製作しているという渡辺謙一監督の 2009年作品、フランス語ナレーションに日本語字幕が入る。あまり日本で公開されてこなかった記録フィルムの数々に、当時を知る当事者、研修者、学者のインタビューがはまさっている。戦時中の話をする故 田英夫。「敗北を抱きしめて」著者ジョン・ダワー。「沖縄・福島 犠牲のシステム」著者 高橋哲哉氏。終戦後占領下で短期間で日本国憲法を作った若き女性スタッフ ベアテ・シロタ・ゴードンの晩年の証言映像もあり。焼け残った都内の図書館から各国の憲法例をかき集めたとか、護憲派には美化されがちな日本国憲法が作られた経緯の、実際の一端を知ってけっこう拍子抜けしたり。
ポレポレ東中野18時の回上映後に孫崎享(元外交官)、金平茂紀(TBSキャスター)両氏のアフタートーク。
金平氏が何度見返してもラストシーンの映像が印象に強くと言い、孫崎氏は劇中の五百旗頭真氏の発言に違和感を感じると。
戦後焼け跡がまだ残っていた時期、昭和天皇の日本列島巡幸の地、広島原爆ドームを前に集まった大群衆へ帽子をとって挨拶をするシーンが記録フィルム。声は聞こえないけど、バンザイバンザイを繰り返す大群衆の動作が裕仁天皇の前に広がっている。これをラストに持ってくるところが、外国人でなくとも感じるこの「国民」って何なんだという衝撃を突き付けてくる。