お墓に入りたくない! 散骨という選択
- 作者: 村田ますみ
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2013/05/08
- メディア: 単行本
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近現代日本の葬送の変化や遺族のグリーフケアも幅広く簡潔に解説されている。
本書は特に船での海洋散骨について分かりやすく詳しく書かれている。3組の遺族へのインタビューもあり。
日本の火葬は当たり前になっているけど、火葬の歴史はまだ浅い。明治30年の統計では全国の火葬率は約29%と低い。東京では58%、埼玉・千葉は5%以下、大阪だけは90%突出している。日本やアジアの都市部は火葬の普及率が人口密度と関係しているのは明らかで、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教は宗教、宗派上の違いで土葬か火葬かに別れている。
風水的な伝統墓の印象が強い韓国でも、2007年の法改正で国をあげて散骨や自然葬をすすめているという。イギリスは遺灰を撒く場所が原則規制されていないとのこと。スゥエーデンでは火葬による環境負荷を考慮して、遺体を液体窒素で乾燥凍結させ、細かい粒子にして埋葬?する「フリーズドライ葬」実用化を初めているとのこと。広大な米国では火葬場まで遺族が伴わずに遺灰が郵送されるケースもある。
西日本では東日本の様に骨を全部拾わないしきたりなので、残骨をどうしているのかと思っていたら、専門業者に渡す場合と、お寺で一括して合葬するケースがあるそう。関西では申請すれば焼骨を引き取らずに済む火葬場もある というのは選択肢として魅力的だと思う。
火葬場で骨の形をなるべく留めるめにやっているという最後の急速冷却で、焼骨がセラミック状に堅くなってしまうので、後で手作業で粉状にまで粉砕するのは困難と知る。
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故人が望んでいたなら合同乗船散骨か樹木葬を、もし自分の葬送なら墓にも遺骨にさえ拘らない送り方を望む。
今年はじめて粉骨作業の工程を見たけど、焼骨の中に棺桶の小さな釘や内張り布を止めていたホチキスが相当数混じっていたのは驚いた。粉骨機械にかける前に担当者が手作業で磁石を使って鉄を取り除くのが30分近くと手間と時間が係って。機械で粉状にするのは10分弱だった。