前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

見捨てられた初期被曝

見捨てられた初期被曝 (岩波科学ライブラリー)

見捨てられた初期被曝 (岩波科学ライブラリー)

重版され補充されてるようなので、今更へなちょこな推薦を書いてみる。
原発事故以来 ツイッターアカウント@study2007で情報発信して来た原子核物理の研究者による、満を持しての書籍刊行。
初めて視るデータの数々と、放射性物質が放出された時期の関係者の聞き取り証言がもう、簡潔すぎて怖い・・・悪意なき組織の迷走。いつか来た道ふたたび。こんな日本を取り戻さなくても。


福島県に限らず一定以上の土壌汚染範囲の地域に住んでいた、そして今も低線量被曝の場所に住んでいる、311当時の子どもから青年までの追跡検査を、今後長年にわたって国が続けていくシステムを作るべきだろう。4年目になって甲状腺がん多発のデータが行政からも出て来たことで、震災後ココロの問題にすり替えている「復興応援」事業の多くは、子どもの健康を守る事を再優先に正す時期に来てる。やる気スイッチを切り替えろって。
ただ・・・まだ自分も福島に住んでいる親戚(未成年だった従兄弟や、今も子育て中の家庭が居る)に、検査を受けてとは未だ言えてない。無沙汰の引け目もあってか、嫌われるのは苦にならないのに
将来、早く言えなかった事を酷く後悔する予感だけは重くなっていく、せめて検査と保養を。


原子力関連の技術者OBの方々を、原発問題を考える学習会で見かけたり意見を伺える事もあるけど、現役の技術者や学者が専門知識を活かして一般に情報発信して欲しいなーと不満なところで、やっとStudyさんが病床から必死に自著を書き上げて現れた気がする。
大学院で学んだりとか多く居るはずの人々は、自らの専門知識をなぜ社会に還元しないのかなと疑問に思っている中、近々では憲法学者がリレーで政府の強引な改憲に強く抗議するのと比べると、ものすごい孤立感が。理系は研究費予算が膨大なので体制には逆らえないという保身は想像にかたくないけど。
まだ日本の科学技術は世界最高とかいう自惚れが、原発事故を過小評価して視野を狭くしているのかなとも。
自分自身もこの4年間は無力感とぶつけようのない私怨で狂いかけてる。

これまではツイッターアイコンがアニメ画だと、その人が書かれている事への個人的な信用格付けはかなり低いのだけど、こうした例外が居られるので困る。