前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

アフリカをフィールドワークする/アフリカの音の世界

アフリカをフィールドワークする―ことばを訪ねて

アフリカをフィールドワークする―ことばを訪ねて

出版時は国名がザイールだった、現コンゴ民主共和国ルワンダ国境近く(キヴ湖の西)に住むテンボ族などの村々へ、著者が長年通って各言語やことわざ文化を習得していった様子などが前半に書かれている。
4章 諺と名前は何を語るか テンボ族の命名では、親が子どもにつける名前(文章あるいはメッセージ)の由来について書かれている。女の子の名前に多いという「ンダメニャア」(私は知らなかった)は結婚するまで夫がこんなひどい人だとは知らなかった、という妻から夫へのメッセージなのだという・・・。他に姑へのあてつけのような名前もある。他に〜の頃に生まれた子、というスナップショット的な名前に「マニラ」(葬式・涙)とか、諺の一部をとって「チャルマンギマ」(サルの傷)という男の子の例も紹介されている。
5章 国境を越える音楽と映画 人はリンガラ語で何を歌っているかーの章では、当時流行していた歌の訳詩が紹介されていて面白い。


アフリカの音の世界―音楽学者のおもしろフィールドワーク

アフリカの音の世界―音楽学者のおもしろフィールドワーク

音楽学者からみたアフリカの音の世界。
ザンビアのルヴァレ王国滞在のエピソードの中で色彩を表現する擬態語・擬音語が紹介されていて興味を惹く。今の日本語で言うとマンガの効果音っぽいがっ。
3章 アフリカン・リズムの秘密
ふつうの日本人には難しい、輪唱のなかで3拍子と2拍子を同時に進行させたり、三拍子の歌を唄いながら二拍子で手拍子を打ったりするアフリカ人の「正確にずらず美学」は、子供の頃からの遊び・学習で会得するという。
「現代によみがえったベル・パターン」では広いアフリカ大陸を縦断するように共通のリズムが点在する謎や、その昔西アフリカからカリブ海アメリカ大陸に送られた黒人奴隷たちが、現地で郷里の祖霊信仰とカトリックを混合させて生まれた「カンドンブレ」など民間信仰の音楽が、ラテンアメリカ発のリズムとして欧米経由でアフリカに逆輸入されアフリカン・ポップスに再点火された経緯についても紹介されている。


日本の文献に最初に登場する南蛮渡来のアフリカ人はモザンビーク出身、宣教師の従者として来日、後に織田信長の家来 弥助になるなど雑学も豊富。


アフリカ音楽の奥遠さを世界に紹介した先達たち、クヮベナ・ンケティア ゲルハルト・クービックへ繋がるガイドにもなっている。