前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

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3・11とチェルノブイリ法 ー再建への知恵を受け継ぐ

3・11とチェルノブイリ法―再建への知恵を受け継ぐ

3・11とチェルノブイリ法―再建への知恵を受け継ぐ

チェルノブイリ法とは放射線被害のための救済法。事故から五年後の1991年5月に制定されたロシア連邦法「チェルノブイリ原発事故の結果 放射線被害を受けた市民の社会的保護について」
ウクライナベラルーシに隣接するロシア ブリヤンスク州を著者が訪れ、法律制定作成時の関係者に話を聴きながら要点を纏めた、福島原発事故後に必要となる放射線被災者救済のための法律作成の要点と今現在分かった問題点。


30キロ圏外にも汚染地帯が広がっていたデータが報道されたのは事故から3年後だった。


まずは事故現場で高線量被曝したリクビダートル(原発事故収束作業員)たちへの医療サービス、生活保障の権利獲得が先に法律策定に動く、その後に汚染地帯の住民の医療、移住の権利の獲得と、支援法の適用者が広がっていく。汚染地帯のデータが公開されると該当者は当然増えていく。
被災者は持ち家などを喪失財産として申請する。残念ながら満足する額でもなく移住先での住居入手は困難。


立法当時に被災者が長期で望んだ健康診断やサナトリウムでの保養など医療サービスを受けられる権利から、今は現金支給のみに法律が改悪された部分もあり。インフレ社会では支給額は目減りして保養所への旅費にも足りず生活苦になる。


3世代にわたって健康状態の定期検査が必要とされるも
被曝の影響を最小限にする目的で行われている、子どもたちの域外保養所サービスには年々形骸化している問題がある。
乳幼児〜子どもへの保育補助金も目減りして、遠方からの食品を購入する財力はない。
指定区域から国立大学へ受験し合格した場合には無料就学生制度が受けられる、だだしそれは大都市圏へ有能な若者の流出にも繋がっている。


第六章 【退去対象地域 ノボズィプコフ市の試み】
州西端のノボズィプコフ市では退去対象地域でありながら住民には「住み続ける権利」の選択も認められている。ただ移住先から数年で帰還する住民も多い。帰還者へ住環境と就職先のケアは大きな課題。


(P 214)引用==========


また、国と地方自治体、民間団体の効果的な協力を促進する制度も必要だ。その制度の土台に鳴るのは、住人と行政の信頼関係である。ノボズィプコフでは、その信頼関係が失われ、官民総力を挙げた地域復興ができていない。原発事故当時に、行政が十分な情報開示を行わなかったことについて、住民の多くはいまだに恨みに近い感情を持っている。「役人」と聞くだけで、「不信」をあらわにする住民と、行政や地方自治体は、復興のために足並みをそろえることができずにいる。これも「ロシア・チェルノブイリ問題の首都」から、私たちが学ぶべき教訓の一つだ。


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福島原発事故から3年目、チェルノブイリ法を参考に日本国内で策定に一刻も早く動くべきと思わせる動画。
アワープラネットTV
2014年のベラルーシ訪問と、子ども保養所などの貴重なレポート
映像報告「チェルノブイリ・28年目の子どもたち」 | OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー