前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

イラク チグリスに浮かぶ平和

ポレポレ東中野を会場にTOP :: Tokyo Docs 2014
来週から上映予定の映画『イラク チグリスに浮かぶ平和』公式サイトを特別先行上映とトークイベント。対談には監督の綿井健陽氏とTBSの金平茂紀キャスター。
TOKYO DOCS主催のためか 客席は放送関係者が多かった感じ。


観終わって帰宅してからWebでOur Planet TVの監督インタビューと作品紹介を見た。





2003年3月イラクの首都バグダッド、米英軍の空爆3日前の街の風景と人々へのインタビューから映像は始まる。
空爆時に爆撃で家を破壊され幼い娘3人のうち瀕死の子を看取る父親アリ・サクバンと病室での出会いから、家族との10年間の付き合いが断続的に記録されていく。


アメリカ軍の空爆が地元市民を家ごと殺戮し、遺族は痛みと苦しみと怒りと絶望のなか、隣近所や親類同士でなんとか助け合って生きていく。フセイン政権が倒れても、治安はより悪化し街中での自動車爆弾、武装勢力の殺し合いや誘拐殺人は止まらなかった。
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はじめから不可避であるかのようにメディアが伝えるアメリカ軍の空爆、大量の誤爆によって将来の「報復テロ」の種を無限に撒いているのは明白だ。ここのとこISIS「イスラム国」関連のニュースを読む度に、女性を奴隷にしている野蛮な集団だとか、彼らを支持する若者が世界各地から「大挙」集まっているとか、空爆やむなし、参戦やむなし、この近日中に予定されている大きな「政治決断」を意図的に作り出していく気持ち悪さが臭う。元々イスラムへの理解などはじめから拒絶しているのはどちら側なのか?


湾岸戦争時に90億ドルも拠出した日本の海部政権。世紀をまたいで311後にアメリカがはじめたイラク戦争では真っ先に小泉元総理が支持した。日本の米軍基地の役割も後方支援として大きい。寡黙な協力者として日本人の手は血みどろなのに、自衛隊が行くところが非戦闘地域だとか、戦後一貫して平和を守っているだとか、右も左も言いっ放しで聞く耳を持たない。戦争を止められなかった責任は誰にあるのか、民主主義を騙る中で為政者がやることを黙ってやり過ごしてたら後々どうなるのか、家を仕事を、なにより大切な家族の多くを失い、体の一部を失い、この映画の中に写されている人々から伝わってくる事はとても重く、とても多い。