前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

原発広告

原発広告

原発広告

博報堂の著者が日本の原発黎明期の新聞広告から記事を模した雑誌広告、タレント起用のTV原発イメージCM、311直後に削除された原発企業の自画自賛PRなど、膨大な「広告作品」を時系列に、無制限に安全神話と広告費が膨らんでいく様を紹介。非常に秀逸だったり、バブル臭のする駄作だったり。それも国民の税金と電気代から湯水のごとく・・・


年明けに開催されたロフトプラスワンでのグリーンピース・ジャパン主催トークイベント
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/date/2014/01/24
ではゲストの著者が地方紙広告の営業も関わった経験から、原発立地県の新聞社の原発広告の事例を数多く具体的な掲載料なども解説されて、様々な業界内のシガラミを深く生々しく感じた。


流石に多くの才能とお金が使われただけに原発イメージ広告の代表作は秀逸だと思う。


1975年の電気事業連合会、新聞広告イラストのコピー「タンカー200隻分の収穫」1981年の東京電力朝日新聞広告では海面から少し浮き上がっている巨大石油タンカーのリアルな絵に「20000万トンのタンカーが浮いた」と原発稼働で燃料代節約をうたったり。この節約できますという論法は今、原発止めてるから火力燃料買い付けで国費が流出しているという様に使われている。

原発黎明期の安全PR広告での手法は、市民の皆さん放射能は心配ですよね、気持ち分ります、では専門家の話を聴いて下さい的な、字数の多い啓蒙(?)意見広告が多かった。誰が最後まで読むんだと思うけど。


1981年当時の科学技術庁政府広報、新聞広告では「放射線のものさし」として今も似たイラストや線量の比較で使われている、レントゲン、ガンの放射線検診(CTかも)自然界で放射線の高い場所がざっくりどれ位の値で、最小単位が原子炉前に立つ人だったりする。(今では汚染水タンクからも高いX線が出ている。)この放射線のものさしは今となっては説得力に欠ける・・・・

・・・と思っていた。
でも案外この比較を好んで使う故意なき人たちも多い。これに喫煙でガンになる率と積算被ばくの危険性を比べて自嘲気味に語ったり、東京ーニューヨーク間の旅客機で浴びる放射線を例に、被ばくの影響を軽視する「気分の問題」パターンが広く確立している。自然界から降り注ぐ宇宙線と原子炉由来で生成された放射性核種を比べて過小評価するのは間違っている。それでも放射線の基礎知識の手引にも「放射線のものさし」に似たイラストは未だ使われているので、一般人へやさしく説明するために引用する放射線の専門家もいる。


レントゲンやCTを多用する日本の医療被曝は他国より多い。英国・豪の研究で若年層の患者がCTスキャンを受けた後の追跡データにガンとの有意性が報じられてもいる。
http://www.afpbb.com/articles/-/2882432?pid=9069794
http://www.qlifepro.com/news/20130612/cancer-risk-rises-when-minors-receiving-ct.html


この有意義な原発広告を読み返しながら、これに対抗するのは大変な才能が要るなと思う。
以前も書いたかもしれない、長年の反原発運動で廃棄物問題を「トイレのないマンション」と例えたフレーズは、一件分かりやすそうで実は後処理不能な深刻さが伝わらなと思う。
1991年科学技術庁が日本原子力文化振興財団へ作成させた「原子力PA(社会的受容)方策の考え方」は、よく出来ている。http://labor-manabiya.news.coocan.jp/shiryoushitsu/PAhousaku.pdf
原発再稼働スケジュールや外国への売り込みが水面下で進んでいる本年度からまた、電事連原子力関連団体の広告が大きく復活するかも。