漂流老人 ホームレス社会

漂流老人ホームレス社会

東京の繁華街であり雑多なエリア、池袋周辺で長くホームレスの支援に関わってきた若き医師が、これまで出会った様々な人々との出会いを紹介しながら、役所の、警察の、緊急医療現場で足りていなかった過去と最近のケースを語りながら、著者を含めた周囲の人々の認識の変化にも触れられている。独りで居るのが好きだから野宿者なのだという人事感は自分にもあった。ただ、数年前から軽度の知的障がいや家庭崩壊が原因で一般社会から弾き飛ばされた人たちが多い様だという認識の修正はされてはいた。ただそれ以上には踏み込めていない。本書で小さな物音や光や匂いなどの知覚過敏が原因で集団生活が耐えられないという人達の症例を知った。個性の強い統合失調症の方とのやり取りとか、ここまで相手の気持ちを読み取れる精神科医に出会えるのは稀有ではないかとも。
終章に著者のバックグラウンドが赤裸々に書かれている。

てのはし HP
http://tenohasi.org