前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

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国家のシロアリ 〜復興予算流用の真相

国家のシロアリ: 復興予算流用の真相

国家のシロアリ: 復興予算流用の真相

復興予算が被災地と関係のない全国各地の自治体や各省庁へばら撒かれている無数の事例は「2011年7月29日に策定された復興基本方針に則っている」と霞ヶ関関係者が口をそろえて答えると著者は言う。「復興基本方針」とは、3・11発生の翌月4月から6月末までに開かれた有識者会議の「復興構想会議」の結論を反映して、東日本大震災復興対策本部が同年7月に策定したもの。
復興構想会議初日に議長宛へ菅直人首相から出された諮問書の一文に「「被災地域の復興なくして日本経済の再生はない。また、日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない」」一見違和感を与えないようでいて最初の被災地の復興目的から、まるで順番を逆に誘導する幼稚なロジック。首相の名を使って官僚作成なのか、五百旗頭真議長が会議終了間際に他の委員が異論する余地なく唐突に入れて来たという、「復興構想7原則」の原則5にそのままの文が入れられる。


万能感を与えた文言を入れたことにより「復興予算は、単なる補正予算の一種にすぎない」と被災地と関係のない全国の自治体や省庁へ容赦なく使われていく。


一番必要とする被災地へ回されることなく全国各地で復興予算が食い荒らされている事が明るみに出てから、この国の行政への最低限の信用は絶望的にまで堕ち、すぐ忘れるとでも思ってんのかと怒りは日増しに潜行している。
原子力関係の事業にまで撒かれている現状は、悪質なブラックジョークも超えている。それにしても流用問題の追跡記事がほとんど出てこない。復興予算は食い逃げ上等になっている。


有識者会議を経て官僚誘導の政策を実現させるというのは古くから常套手段だとは思う。ここ数年はパブリックコメントを募って、広く市民の意見を聴くという体裁(形だけ)や、参加条件のハードルが高い住民説明会で稀に長く様々な意見を聴いて最後にあらかじめ決めていた結論を出して押し切る、という技を使っている。無謬性が酷くエリート意識が強い官僚に、聞く耳などはじめから無い。政官民の間で侮蔑の敵対関係は止まらない。
http://sp.mainichi.jp/select/news/20140224k0000e040240000c.html