北朝鮮帰国事業 〜「壮大な拉致」か「追放」か
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/03/22
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3人の兄を港で見送ったのが1972年、「帰国事業」はモノクロ記録映像でしか視たことがなかったので、72年まで続いていた事が驚きだった。ビデオで撮っている娘の前では大阪の朝鮮総連の老幹部が、人の良さそうなそこら辺のおっちゃんにしか見えないのも、母親が淡々とピョンヤン宛のダンボールに孫の文房具をはじめ仕送り荷物を詰めているのも、映像で視ると言いようのない違和感を感じた。
幹部であればある程度は国の内情を知っていたはずなのに、なぜ息子たちを北朝鮮へ行かせてしまったのか。さらに総連が「地上の楽園」と宣伝して送り出してしまった無数の「同胞」たちの人生をどう思うのか。
1959〜1984年までの間に北朝鮮へ「帰った」人達は9割以上が半島の南出身という基本的な事もドキュメンタリーで初めて知った。
北朝鮮帰国事業 - 「壮大な拉致」か「追放」か (中公新書)
- 作者: 菊池嘉晃
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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72年は金日成の生誕60年ということで、帰国者が減っている中で総連幹部の忠誠を改めて問う様に息子たちを差し出す圧力が係っていたのかと想像する。実際、日本に残った肉親からの仕送りが彼らの身の安全を助ける命綱になっている。
監督の父親であり被写体である おっちゃんは済州島出身。これには深く言及がなかったけど朝鮮戦争前に起きた軍事政権の島民虐殺4・3事件が日本へ来るきっかけなのかなと思う。