前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

アラブの春 光と影 前後編

今月はBS世界のドキュメンタリーの「シリーズ アラブの春」で放送された作品が秀逸だった。
BBC製作 アラブの春 光と影 前・後編
原題(How Facebook Changed the World: The Arab Spring)
チェニジアの抗議の焼身自殺から独裁政権と改革を求める市民との戦いが始まり、エジプトのムバラク政権退陣、リビアでは内戦状態と国連軍の軍事介入まで、シリアでは逆に市民への虐殺や拷問が横行、小国バーレーンでは流血の惨事まで。チェニジアとエジプトでの携帯電話で撮られた動画やPCライブカメラFacebookなどで連絡や海外への拡散、誰かの指図ではなく一般市民へのデモ告知や動員、海外への動画情報拡散など、独裁政権を倒す戦いに効果的に使われた事例が数多く紹介されている。リビアの状況は最初のところだけ詳しく、後はかなり端折っている感がした。
シリアは今も恐怖政治がより残虐な形で停滞してしまっている、バーレーンでのデモ隊への大虐殺は短いニュースでしか知らなかったので、どういう経緯で情勢が動いたのかをこの番組で初めて知った(日本国内で配信された海外ニュースでもほとんど見なかった)


大勢の流血と犠牲の中でようやく独裁者を倒して勝利に喜ぶ人々を見ながら、今年2月に再放送で見た「非暴力革命のすすめ ジーン・シャープの提言」原題:How to Start a Revolution 製作Big Indy / Lion Television で、シャープ博士が言っていた苦言が思い出された。中国で失敗した天安門事件について、抗議運動が無計画で進められ勇気ある撤退が足りなかった事と、今回のエジブトで成功した市民革命についても、独裁者だけを倒しても政権を長年支持していた支配層は残ってしまう。頭を取り替えるだけで終わってしまう。これは、ルーマニアのチャウセスク政権にも言えるだろう。その後こそが大事なので、海外メディアはしっかり後追い報道して欲しい。