前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

再び、立ち上がる! 〜河北新報社、東日本大震災の記録

再び、立ち上がる! ―河北新報社、東日本大震災の記録

再び、立ち上がる! ―河北新報社、東日本大震災の記録

各章に記者が記名で書いた短いルポ、被災地での数多くの証言が載っている。
特に第三章【逃げる、その時】津波に襲われ生き延びた証言からは、逃げ切れなかった人々の恐ろしい映像が迫って、ページを読み進めることすら重たい。震災報道時はあえて、分かった気になるテレビ映像を視ない暮らしをしていたせいもあって、助けられなかった犠牲者に罪悪感を持つのは視聴者でも読者でも起こるものかと。
 人間らしい暮らしへ立ち直ろうと、第四章【それでも前へ】に救われる。それでも困難はこの先も長く続く。
 あとがきに書かれている、ある遺族が新聞社へ電話で伝えて来た様に、再び犠牲者を出さないための貴重な証言集にもなっている。


仙台から東北一帯をカバーする「河北新報」3.11以降の報道、ネットを通じた全国発信の役割には数多くの人が感謝していると思う。逆に全国紙のこの期に及んでも官報・他人事ぶりと、被災地の美談のつまみ食いにはもう存在価値はない。今回の震災と原発報道が日常化した中でも、長年細々と放送しているラジオ局や、頼りになる地方紙が地道に仕事を続けていて良かったと心から思う。