「ゴーストタウン／廃城」

「ゴーストタウン」趙大勇(チャオ・ダーヨン)監督　2008年

雲南省に連なる山の麓にある捨てられた集落に立つ白く剥げた毛沢東像。そこへ住み着いた少数民族のリス族とヌー族、20世紀初めに布教に来た宣教師により多くがキリスト教を信仰していた。
信仰篤い老人は毛沢東の時代に20年以上収容所で生き延びた、しかし息子とのギクシャクした関係。

女房子どもと別れて酒に溺れるだらしない男、賛美歌を歌う教会へは入れない。

誘拐され遠い土地で嫁として売られた女性が乳飲み子を連れて帰郷。恨み言ひとつなく「運のいい方」だと。

野生児のような少年の、食べるための自給自足、病気祓いの伝統的な儀礼も行われている。

スクリーン上で何も起きない長い間がある、あえてカットしないのだろうとも思える、「ドキュメント」記録された同じ時間を過ごすこと。圧縮してTVサイズにすればより多くの人が楽しめるかもしれないけど。映像の荒れが目立つ、かといって高細密なカメラで撮っていたら、観客の印象は平凡なくらい綺麗に残らなかったかもしれない。