前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

災害ストレス 直接被災と報道被害

著者は聖路加国際病院精神腫瘍科院長 保坂隆先生。3・11以降、心のケアについてラジオに出演されて話された内容がぼんやり残ってた中、本屋で見つけて購入。
医学用語などはほとんど使わず短く読みやすい。これまでの大地震や事件の被害者に実際あったケースを数多く紹介しながら、震災直後から復興までの期間、さまざまな心のケアを説く。


(P91)被災者の心の復興のステップではロス大地震後につくられた被災後の心の復興を四期に分けたモデルを紹介。

  1. 英雄期 

震災直後に茫然自失になる人とは別に、覚醒状態になり疲れを感じないくらい人のために動き回る人が活躍する。

  1. ネムーン期

同じ被災を受けた人達がなぐさめ励まし合って、強い共同意識を持つ時期。

  1. 幻滅期

被災者の間での境遇の格差に幻滅する、溜まっていた怒りや疲労が出て来る時期。

  1. 再建期

亡くした肉親のつらい死をようやく受け入れて、暮らしの復興に進む時期。
(立ち直れない被災者のPTSDアルコール依存症に注意。)


●震災から三日後にNHKラジオ第一「つながるラジオ」でリスナーのリクエストに答えて「アンパンマンのマーチ」をかけて大きな反響があり、ニッポン放送、東京FMでも何度も流されたと書かれている。どの局が震災後初オンエアかは知らないけど、明るく人生の意味を問う歌詞なのでオトナにもグッと来たのだろう。


被災地から遠く離れていても、ショッキングな映像などを繰り返し視てしまうことによって、サバイバー・ギルト(生存者が感じる罪悪感)や、心の自己防衛で実生活とのギャップに強い乖離は起きてしまう。震災直後に集中した献血はある種の高揚感の中で行われたのかもしれない。阪神淡路大震災と違って復興まで先が長い。被災地への関心が途切れないように、無理のない支援が続けられるように地道に通いたい。そんなとこです。