前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

原発社会からの離脱 自然エネルギーと共同体自治に向けて

宮台真司飯田哲也氏の対談本。
日本で早くから自然エネルギーの研究促進を具体的に進めて来た飯田氏の職歴が面白い。


元は80年代に原子力村の若き技術者として核廃棄物の格納容器を開発していたり、事務職になるとIAEA霞が関文学(官僚の作る作文のこと)を読み解いて組織の中で解説する側に居た。しかし、そんな異常な世界を飛び出してからは、北欧の脱原発政策と欧州の自然エネルギーの流れを勉強して日本へ紹介、電力会社と原発廃止派を対話させる奇跡的な場を作ったり、自然エネルギー開発に行政をなんとか引き込んで風力発電の実験や太陽光の政策まで実現させている、そのなかでも失敗もいくつか語られている。


この対談本で一番感心したのは、原発の話ではなく1999年の東京都のディーゼル規制「ディーゼル車NO作戦」がなぜ成功したのかという話。官庁や業界団体に潰されかねない厳しい排ガス規制をやり遂げたのは、当時東京都環境局に居た個性的な課長が指揮をとり各界へ個別に「結果あなたにも得になる話」として地道に説得して回ったからだという。
酷さばかりが目立つ石原都政の中で珍しく、空を綺麗にした結果が見える政策だと思っていたので、こういう特異なチームが働いたからなのかとなるほど納得。


官僚主義は民間にもある、東電など日本を代表する巨大な企業、大新聞などに蔓延する無謬主義(過ちを認めない)そして人事しか興味がない保守、それらと敵対ぜずに説得して社会を一緒に変えていくというのは並大抵の事ではないと思う。