検証 東日本大地震の流言・デマ
- 作者: 荻上チキ
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/05/17
- メディア: 新書
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この本では有名人ブログやTwitter、メールで広がる流言・デマについて、個々の事例を紹介しながら拡散と沈静化の流れを探っている。
旧来のメディアの報道について検証する事はあえてしていない。むしろ、「メディアが取り上げない真実」こそが正しいという立ち位置にある落とし穴、あるいは自称エリートたちの選民意識が社会の秩序を無知な人達が壊すという不安感から、不確かな情報を積極的に拡散してしまうケースに警鐘を鳴らしている。
本書で一番感心したのはこの辺りの指摘。
(それだけ、旧来のメディアが大本営発表の安全デマだから、信用できない前提の上で。)
冒頭に書かれているデマの定義として、それが恣意的な「悪意ある」行為か否か、という選別は確かにムズカシイ。誤情報を拡散してしまう人達の行動パターンは色々あるだろうし。
それにしても、21世紀の今になっても大正時代に起きた関東大震災レベルの「〇〇人が好き勝手暴れてる」なんてデマが流されるなんて、一部の愉快犯だけの問題ではない気がする。生活環境が不安と緊張で充満すると、分かりやすい偏見に簡単に火がつくのかな。
といって非常時の只中にいる人に安全圏に住む人間が「寛容と思いやり」を説くのも虫酸が走るだろう。
自分の生活周辺を見回すと被災地から離れた場所では、3・11など無かった様な暮らしに戻っている。汚染地帯を知りながら気付かなかった事にする記憶の捏造が流行してる。
◇どこかのWeb記事でGoogleのリアルタイム検索を使えば、ある程度火元の情報源を見つけられる事は知っていたけど、それが旧来の掲示板カキコが元ネタだったりすると、一般人にはそれ以上は探れない。