前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

オンカロ「地下深く永遠に 〜核廃棄物10万年の危険」

先月BS世界のドキュメンタリーで放送された番組の中で興味深かった、フィンランド地下深く高レベル核廃棄物貯蔵施設「オンカロ」建設と関係者たちのインタビューを静かに淡々と紹介する作品
「地下深く永遠に 〜核廃棄物10万年の危険」デンマーク製作 2010年作品


巨大重機や爆破以外では現場の人間を映していないせいもあり、億年単位で形成された固い地層深く巨大掘削機が螺旋状に下がりながら掘り進めている光景は、ある種の神々しさを感じる。
作品全体に静かな落ち着いた時間が流れていて、これまで作られた原発関連のドキュメンタリーの中でも異質で妙な可笑しさを覚える。
 それは安全性をめぐる論争を超えて、既に出来てしまった高レベル核廃棄物の汚染を、真面目なオトナ達がどうやって10万年単位で隔離することが出来るか?と現状の科学技術を駆使して地下深く巨大隔離スペースを地道に作っている行為そのものにある。
ひとりの人間が感じられる時間のスケールを超えている中で。


さらに、遠い未来に人類がココを掘り返さないように、警告する標識を立てるべきか否かで、インタビューは不条理SFっぽい空気が流れる。


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世界各地で原発が生み出す廃棄物を、各国がこんな面倒で丁寧な保管をしてくれると思うか?という意地悪な質問が無かったのは、結果良かったのかも。
アメリカ政府などは、資源は無駄なく劣化ウラン弾として有効利用してます!とか本気で自慢しそうだし。


地震活断層が真下に走る可能性がある土地に原発を建ててしまう我が国の専門家たちと、この作品に紹介されるフィンランドの人々とは到底同じ人類とは思えない。10万年と待たずに、失われた10年とか言わずに、原発の是非を論じる以前に。