前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

「海の道」「夏の草原」

東京国際映画祭の上映作2本を観にTOHOシネマズ六本木へ。
「海の道」weys of the sea  HALAW2010 フィリピン
イスラム教のアザーンが流れるフィリピン南部の島から、様々な事情でマレーシア領域へ密航する人々をドキュメンタリータッチで描いた独立系の作品。
 重たいテーマに多少構えていたけど、見せ方がとても上手でエゲツないシーンは観客の想像力にまかせ飛ばしてくれる。なにより社会の裏街道に生きる現代の女衒を苦悩させ「良心のカケラ」まで描いているのは新鮮。勘ぐれば出稼ぎ大国フィリピンの、せめてこうであって欲しいという国民感情を役に乗せているのかな?と。

HALAW公式動画

 劇中に本物らしく視えるのは、イラン映画のように自然でギコチない素人をプロの役者と混ぜているのではないかと感じた。上映後に来日中の関係者のティーチインがあったけど、残念ながら次に観る映画の上映開始時間が迫っていたので、客席からの質疑中に途中退席。


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「夏の草原」Summer Pasture 2010 米・中
チベット カム地方でヤクを遊牧して暮らす若い夫婦の日常を記録したドキュメンタリー。


遊牧生活の妻の仕事は大変だ、病気を抱えたままヤクの糞を集めて乾かして燃料にする、毎日ヤクの乳しぼり、乳製品の加工、乳幼児の世話〜。夫は伊達男でもしゃべりが達者なお陰で周辺社会の色々な事情が分かって来る。遊牧生活で変わっていくものと変わらないもの、「まだ」と言うべきか、作品にあまり政治色が感じられないのも良い。
劇中ヤクの子供の鳴き声を初めて聴いた。チベットを一度でも訪れた事のある人なら様々な匂いが蘇って来ると思う。