チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち
- 作者: オスネセイエルスタッド,Asne Seierstad,青木玲
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2009/09
- メディア: 単行本
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2006年10月に暗殺されたジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤとの接点を重ねながら、ロシアの傀儡政権のリーダーとのインタビューでは事件への関与を質問している。
根強い民族間憎悪と拷問と復讐の連鎖を綴りながらも、ロシア側ばかりを悪とは描かないこのバランスは、読み手に深い問いかけを投げつける。
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アメリカなどキリスト教文化圏で制作される「すっきりした」タイプのドキュメンタリー物だと、イスラムの因習で抑圧される女性を助けるべき、といった主張は今までよく使われていると思う。それがテロとの戦いや空爆容認まで認めて、現地の民間人が大勢死んでも無関心という人々は潜在的に多い気がする。そういった紛争地の民族への先入観を安易に増長しそうで危うい記事も入っている。チェチェンでの家の名誉が絡んだ肉親女性への名誉殺人。
短い文章とはいえ個人的にはこれが一番重たかった。 受け手側に判断を任せる書き方だと思う。