前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

対テロ戦争株式会社 「不安の政治」から営利をむさぼる企業

対テロ戦争株式会社―「不安の政治」から営利をむさぼる企業

対テロ戦争株式会社―「不安の政治」から営利をむさぼる企業

WAR ON TERROR,INC.


イラク戦争で有名になったブラックウォーターなど民間傭兵会社の成り立ちや、委託先の政府とのどんぶり勘定な契約と水増し請求、雑な仕事ぶりを暴露するだけでなく、紛争地で儲ける経営陣たちのプロフィールや人間関係は、冷戦時代のベトナム戦争のフェニックス作戦、アフガン戦争、レーガン政権でのイラン・コントラ事件、サッチャー政権での刑務所民営化、アパルトヘイトの南ア特殊部隊やロック作戦まで飛ぶ。


現場の荒くれ傭兵や経営者たちのスキャンダルだけではなく、第二次大戦以降の軍産複合体での政治家と有名企業の振る舞い、9・11以降の「アルカイダブーム」で安全保障市場が対テロ戦争バブルに湧き立つ(著者には悪いけど、この辺の悪行三昧はもう多すぎて感覚が麻痺する。)までの経緯をも紹介している。


1996年に英国野村證券のトレーダーが英軍住宅建設と管理の契約を取って、低コストの劣悪住宅を建てて差額で儲けた事例とか。原子力潜水艦の廃棄処理のズサンさになると、ヒトゴトではない。
冷戦が終わって軍事産業が冷え込んだ90年代は、反グローバリズム運動の市民運動ネットワークにスパイを送り込んだり、運動家たちをネタに企業を脅して守る「情報産業」で金を掠め取ってもいた。


有名な兵器企業のロッキード社が福祉サービスに参入し、家族を養おうとしない「文無しの父親」を探し出すと謳った電子システムの開発で、膨大な福祉予算を食いつぶした事例などは、日本でも似たよな似非プロジェクトが発生する可能性はあり得る、否すでに発生しているか。