前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

アンナ・ポリトコフスカヤ再読

ロシアン・ダイアリー―暗殺された女性記者の取材手帳 プーチニズム 報道されないロシアの現実 チェチェン やめられない戦争
先日のドキュメンタリーを観た後で再読したくなり。記録映像に写っているアンナ・ポリトコフスカヤは書籍の写真とは違って生気溢れ、対話も楽しそうだった。もちろん絶望的な状況からかろうじて生きている苦笑いにも受け取れて。
最近アルジャジーラのWEBニュースで遺族が暗殺事件の再捜査を裁判所に起こしたが、却下されたと報じていた。


さて、人生ムダに過して曲がり角で健忘症を超えている。ブログに気になった本の感想を書いているのは備忘録として。と第三者に向けて書いた方が自身の読後感が纏まるため、なのにー『ロシアン・ダイアリー』感想を書いてた事自体忘れてた。『プーチニズム』も読み直すまで読んでたこと自体覚えていなかった。先に出された『チェチェンやめられない戦争』3冊ともプーチン政権の批判は一貫しているが読ませるための構成はちがう。



チェチェンやめられない戦争』侵略地チェチェンでのロシア軍の残虐な行為についてはもちろん、チェチェン市民を誘拐しては身内に法外な身代金を要求するロシア軍兵士たち。一方で戦地に取り残されたロシアの老人たちを見舞うシーンでは、ひとりの大尉が協力してくれたりする(後に密告され解雇)。


『プーチニズム』(英語の原題 プーチンのロシア)では、新生ロシアでプーチン政権を支える暴力装置と人脈、ロシア全土の混乱ぶり書かれている。著者の古い友人が事業家として成功して成金になっていく様についての章では、ロシア国内で自分の著作本が出版されない状況を自嘲してもいる。


『ロシアン・ダイアリー』日記形式だが、取材原稿が挟まれている。
プーチンの再選された大統領選で対抗馬が失踪した事件、FSBが重要人物の自由意志を奪い自白剤にも使うとされる向精神薬SP117について、ありうる話だが効能がちょっとご都合主義な気もする。投薬されて自白している時の記憶は失くしてしまう・・・?


巨大国家は周辺国への覇権と自国民に対して対テロという民族憎悪を煽る政策を続けている。米国や中国を見よ。ロシアも特別ではないと言い切る事情通にとって、著者は当然殺されるべき人だったのか?単純に野蛮なロシア像を強化するネタとして?
この本の内容に深く関心を持つ事の疲労度と麻痺、読者の冷笑を聞くのが怖い。