前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

政党が操る選挙報道

政党が操る選挙報道 (集英社新書)

政党が操る選挙報道 (集英社新書)

2005年総選挙での自民VS民主、政党単位のコミ戦=コミュニケーション戦略と呼ばれる新しい選挙活動を後日談とメディア側からの反省を含めて検証している。
本書を読み終わって細かいところでは面白いと思う反面、半分近くが自民党広報の世耕議員の自慢話を聞かされた感が残る。当時の印象は民主党側のド下手な広報が痛々しかったけど、本書ではむしろコミ戦の先達として評価している。コミ戦に関った両陣営の広告代理店はさすがに細かい仕事内容を公開してくれないだろうけど、これから先の新らしい奇抜な選挙戦略にも期待。


長期政権になった小泉政権+メディアの下地に、1993年新党ブームで生まれた細川内閣とテレビメディア(視聴率のある情報ニュース番組)の関係を挙げて説明している。確かに素材として面白い絵になったのだろう。にしても番組制作者サイドの短い証言集は、政治家も視聴者もあざ笑うようなものが多い。
ここでも行政・メディア・国民 3者の信頼薄い冷笑の螺旋が見える。




国会解散以来のメディア報道は政権交代へ向けた選挙盛り上げモードだけど、乗降客の多い都内の朝の駅前での政治家あいさつなど見ても、周囲の人間の反応は今まで通り無関心にみえる。
元々この国では公共の場所で政治に関して訴えている人に対して、変な宗教にカブレた人が近くに来た時のように、見なかったことにする、という暗黙のルールがあるので率直な『民意』は分かり難い。
表層の政治活動と変な宗教とは非常に似て見える(笑)し、従来の選挙戦のウルサイ連呼、人に聴かせる演説内容がない政治家の低い話術よりも、キャラを単純化するテレビ報道にコミ戦が24時間情報提供して仕切るのは安易に想像できる。