前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

膨張するロシア正教

3月放送のNHKスペシャル シリーズ プーチンのロシア「失われし人々の祈り」〜膨張するロシア正教
ソビエト時代に迫害されていたロシア正教の復活と膨張を取材した番組。壁一面にびっしりとイコン(聖画)が飾られている狭い部屋で家族が祈る。信仰によりアルコール依存症から立ち治った父親と今もギクシャクする家族の日常。
ソ連時代には現役の物理学者で多くの部下が居たという無神論者の老人と妻が信者という日常。


病弱の独居老人から掛かってくる電話相談、ホームレスへの弱者救済に力をいれる活動が細々と紹介されているなか、2000年プーチン大統領の登場による政府とロシア正教との急速な関係修復〜、国家・軍との協力体制その周辺のめまぐるしい変化まで紹介されている。




ソビエト時代の正教会は映像資料による教会の破壊や、聖職者の大量粛清で語られる。しかし東方正教会の特徴のひとつに、各教会の所属している国家や元首を祝福するという姿勢もあるので、ソ連時代にも細々と生き延びて、一部はKGBと協力していたとも聞く。プーチンKGB時代の人脈をフルに発揮していると勘繰りも。


番組の終わり近くに、数年前に地方の教会でアルコール依存症から更生に努めていた父親が、現地視察に来たプーチン(当時は大統領)と一緒に写っている写真が出てくる。これには心底驚いた。
意地悪な思惑を超えて『国のリーダーとひとりの市民が一緒に写真に写る』影響力に唸る。