前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

グルジア映画 懺悔

空いた名画座に滑り込みセーフ、夜の回に観る。検閲厳しいソ連時代末期の1984年(意味深な年号)、グルジア映画界で有名な監督が撮った三部作の最終作品とのこと。去年から日本各地の映画館で細々と上映されている模様。期待半分もなんで今頃?というのが正直な疑問。
グルジア映画は古典作品も見たはずだけど、パラジャーノフの作品が強烈すぎてそれしか覚えていない。


ストーリーは執拗な墓暴きの被告人が法廷で回想し語る、死体が活躍した暗黒の時代。
ヒトラースターリン毛沢東をミックスしたような独裁者が、自らの理想の社会を創るために、旧来の教会を破壊して「人民の敵」をでっち上げ、市民を次々と逮捕して生死不明になっていく。


西側の映画祭では高い評価を受けているイワユル芸術作品。イデオロギー×宗教心という必然は認めるけど、個人的にはキリスト教世界での隠喩がうざったい。


印象に残ったシーンはふたつ。
強制労働の先から町に運び込まれた丸太の切り株に父親の名前が刻まれていないかと、母と娘が憔悴しながら探す。
全能感たっぷりの独裁者が部下の暴走(誤認逮捕)を止められない描写も、ある意味救われる。