フラット化と無数の断絶
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/08/07
- メディア: 単行本
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- 第一章 フラット化するメディア
著者が当時所属していた毎日新聞で1999年に掲載された、個人サイトが発信した事故現場写真UPを批判した記事を紹介して、匿名・実名問題と報道機関側からの反省が書かれている。
2007年元旦から毎日新聞で掲載された『ネット降臨』第一回、子どもの臓器移植のための寄付活動にネット上で疑問を投げかけた男性(パソコン通信時代からのフォーラム常連とのこと)を取材して、悪意の人物のように新聞紙面に載せたケースを、フリーの著者が引き取って取材してもいる。
既存のメディア関係者が匿名掲示板や匿名ブログを小馬鹿にしているのは、恐れの裏返しでもあると著者は考える。
ブログ論壇という表現も自分にはピンとこない。趣味や私生活を綴ったブログが一般的ななかで、極地的に集合知が発生しているのは時々視るけれど。(いつも論争を読んでゲンナリするのは、相手に嫌いな宗教やイデオロギーのレッテルを貼っては一方的にバッサリ切る行為。)
- 第四章 公共性をだれが保証するのか
『加藤の乱』当時、ネット上で熱い支持をもらって期待したという元自民党幹事長の加藤紘一へのインタビューが面白い。自分の集会で熱心にメモをとっている青年が、実は地域では人と話さないひきこもり状態だったり、【自分ひとりのなかで完結してしまう】選挙的には影響力が少ない層。という分析など。
著者も関ったネット内外での『ことのは事件』の経緯も興味深い。90年代中盤、まだHPもスカスカだったネット黎明期に秀逸なHPを見つけた事を思い出しながら、その製作者と当時の背景をこの本で知って驚いた。
ネット検索で時々感じることのひとつ、21世紀からの記述は詳しいけどネット黎明期〜前の事情がポッカリ空いてて解らないこと。