前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

大阪笑話史

漫才台本作家の大御所、秋田実秋田實が昭和38年(1963年)大阪新聞に連載『漫才の笑い』を書籍化したもの。ノアコレクション2 2000年刊
【漫才】を生業にした芸人たちの歴史を教えてくれる本。漫才さんとの交遊で楽屋噺は多いけど、著者本人の仕事は本文ではあまり語られない。巻末には明治末から1977年に亡くなるまでの年表が付いている。
進化の大爆発のような漫才創成期の魑魅魍魎な芸人たちの奇抜なスタイル。夫婦漫才の花形、暴力漫才(ドツキ漫才)の元祖、女性二人の漫才、楽器漫談、乞食の真似をするだけの芸人とか・・・、ラジオのオリンピックニュース実況再現や軍の慰問報告までネタにする即時性は、今の漫才に無い役割でもあり。


関東大震災満州事変、慰問興行、戦後のドサクサとヒロポン鍋、と激動の世相も織込まれていて漫才の歴史を語っている。浅草を中心に座長から漫才までこなした永田キングという芸人が、当時映画も封切りされてたマルクス兄弟グルーチョの芸風を真似ていた事を本書で知る。風貌は真似できてもあの早口で胡散臭い話術が日本でウケルとは思えないけど。キング党とか永田キング・エロ子(兄妹コンビ)とか、怪しげな芸名の活動も気になる。


有名なエンタツアチャコなどは放送資料が残っているけど、紹介されているウグイス・チャップリンの芸風も気になる。
図書館で読んだ大正・昭和初期の落語速記本のネタも結構面白かったけど、漫才になると短い映像資料で見たことのある芸人も僅か、もっと調べて知りたく観たくなる。