前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

大都映画二本立て

京橋のフィルムセンターで戦中期の大都映画を二本視る。大都映画昭和16年に国策により合併されるまでの8年間だけ活動し低予算で娯楽映画を多く作った。質はともかくメジャーな邦画より入場料が安く人気を得た、とのこと。
当時の関連本などを読んでいると度々記述があり、フィルムが現存するなら観てみたいと思っていたので、今回の企画は有り難い。
客数は予想より少なく客層は当時の少年たちが多かった。


誓ひの乳母車1939/昭和十四年制作
村の神社でひとりの出征兵士を送る式典に、医者が車で乗り付ける。入院中だった長患いの妻が、出征する夫に心おきなく戦地へ赴ける様に今朝ほど自害したと言う・・・。映像に浪曲の語りと台詞が入る構成。
主演が藤間林太郎、戦友役に雲井三郎。出征後に祖父と遺児の日常を助ける看護婦役に水川八重子


これに似た戦時浪曲は落語家の川柳川柳の高座からだったか、戦時下の浪曲を録音で聴いたのか記憶が曖昧だが内容を覚えている。貧乏な家、遊び人の夫に召集令状が来る、長病の妻は心配かけまいと錆びた出刃包丁で自殺する。それを周囲は誉れと讃え泣き(演者熱を入れ語る)、夫は妻の亡骸に向かって戦地で手柄をたてると誓い、近所に幼い子供をあずけ独り戦地に赴く。


これで感動する感覚はワカラナイ、でも未来の今から面白がるのも悪趣味な。


大空の遺言1941/昭和十六年制作
海軍航空隊の間瀬平一郎の伝記を映画化したもの。昭和12年?中国大陸で偵察飛行中に亡くなった。生前の『源田サーカス』は日本のアクロバット飛行の先駆けとのこと。余計な事ながら映画の中での戦死した時の目撃談『敵陣に機体ごと突っ込んだ〜』というが、軍神化の演出だろう。



主演が近衛十四郎、なかなかカッコよい。妻役に琴糸路。美しいッ!ブロマイド欲しいっ。大都から大映に移籍後も活躍した女優というのも納得。同じ海軍航空隊モノで昭和18年制作の『決戦の大空へ』原節子もこの世のものとは思えない。


大空の遺言の主演俳優と、誓ひの乳母車の女優は俳優・松方弘樹のご両親との事。