前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

タイのラナート

風の前奏曲 [DVD]
『風の前奏曲』THE OVERTURE2004年 タイ
19世紀から20世紀に活躍した実在のラナート演奏家の生涯をもとにした物語。主人公が演奏するタイの船型木琴ラナートが主役といえる映画音楽・音楽映画。
素朴でまったりした作品かと思いきや娯楽と愛国がたっぷり入ったストーリー。主人公が田舎から宮廷に見出され第一ラナート奏者がリードする宮廷の楽団対抗やソロ演奏での勝負など、タイで大ヒットしたというのも納得。超技巧の見せ場があって激しく面白い。デジタル時代の特殊効果はこういふものにこそ使って欲しい。


公式サイト●


才能に驕った青年期の主人公を打ち砕く、黒い嵐を呼ぶ年配のベテラン奏者は役者ではなく、ふだんジャズバンドとコラボする本物のラナート演奏者だと知る。


主人公の晩年のシーン、第二次大戦中にタイの近代化政策で古い伝統の民族楽器の演奏が当局に規制、禁止されていく状況が描かれている。どこまで史実なのか気になった。煌びやかな宮廷音楽と、大衆〜芝居などの演芸にそう親しい関係があったとも思えない。近代化と伝統楽器の衰退、日本人としては明治政府からの西洋音楽教育もモロモロ考えさせられる。


ずいぶん昔にジャズの生演奏でマリンバの音を聴いた。楽器は名手にかかると変幻自在の音色を出す。