前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

生命と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

TBSラジオのサイエンスサイトーク ゲストで著者の存在を知った。淡々と非常・非情に説得力がある話に驚いて、著書のベストセラー本を読む。


分子生物学の実験所から生命論が経験則で語られる。『古い大学の教授室はどこも似たような、死んだ鳥のにおいがする。』などシビアな表現もあって、熾烈な競争と業界の話も面白い。これまで複雑系で語られてきた生命非機械論のようなものが、具体的に書かれてもいる。世紀の発見をした著名な科学者の闇の伝記もあり。
読むのを挫折してしまったブルーバックスプリオンはほんとうか?』により詳しい実験が書かれているけど、遺伝子の一部をわざと壊したマウスを使った実験を続ける現場が初心者向けに紹介されている。その結果の大半は仮説を素直に裏付けるものにはならないという。遺伝子の一部が壊れているノックアウトマウスを苦心して作り出しても、そこに望むような異常性が視られないのは、周辺の素材で補ってしまう熱均衡を保った生命ならではの柔軟性だという。


わからないことがわかった。
とはいえネズミ1万匹単位とか、ずいぶんと犠牲を積む仕事だと再認識。犬や猿を使った動物実験もなんとかならんのかと思う。


ソ連時代の小話に
科学的社会主義は壮大な実験である。なら、なんで先に動物実験しなかった?と恨み言