前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

虹の解体

虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか

虹の解体―いかにして科学は驚異への扉を開いたか

ドーキンス前著のベストセラー「利己的な遺伝子」の反響の大きさ曲解の要因に、一般人の科学全般への普遍的な偏見をつらつら語っている。反論するにも置き換えのレトリックを多用するので読みながらもあまりのめり込めない。
とはいえ批判の方法は面白い。超常現象をテーマにした人気ドラマから、日常の占星術(星座占い)まで、日常の【ささやかな楽しみ】と見逃されているフィクションのなかで差別大好きなヒト科の罪をえぐり出す。癒やし系から環境保護全体主義複雑系の乱用とターゲットは尽きない。


(第二次大戦中の爆撃機のチームには、色弱者の兵士を少なくともひとり参加させていた。地上施設のカムフラージュを見破る能力がある・・・)を聞いた話として肯定的に書かれている箇所はダマシなのかと思う。


数年前のベストセラー『ワンダフル・ライフ』グールド著で有名になったカンブリア期の生物の進化の大爆発にも疑問を呈している。確かにバージェス頁岩より以前の証拠が存在しない(今現在発見されていない)から語れる仮説でもある。


ニュートンがプリズムを使った虹の解体(科学的な解明)を非難したロマン派詩人の言葉が、この本のタイトルになっている。




そういえば有人飛行のアポロが月に行った時にも、夢を壊すと嘆いた論調も一部にあった。これもいろんな意味含んでいるけど。
膨張と収縮の泡宇宙から量子の振る舞いなどを素人が読み齧っても、科学は充分に夢に溢れていると思うのだが。夢を曲解と言い換えてもよい。なにしろ純粋な直線なんて宇宙に存在しないのだから。