前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

山室軍平

山室軍平 (人物叢書)

山室軍平 (人物叢書)

明治の末から日本の救世軍を指揮した山室軍平の評伝。

若くして東京へ、徳富蘇峰から新島襄の存在を知り京都の同志社の夏季学校で学び、地方の教会で布教活動をする。すでに演説は上手かったという。イギリスから来日した救世軍に参加、そこから日本人中心の組織、災害援助から今の公共福祉に繋がる運動を広げていく。
全国にあった人身売買・廓の奴隷制救世軍が起した廃娼運動は妻の機惠子による影響も大きい。全国各地のヤクザが仕切る廓に乗り込んで廃娼希望者を救出するという行為には戦慄。非暴力なのでやられるまま負傷重症を多数出している。理想論では終わらせず新聞や政治の協力を取り付けて廓の制度改革をしている。それが途中からどうなったかは別の本で知る。昭和天皇はじめ皇室、大隈重信はじめ数多くの有力者とも関係が深く土地供与や援助を受けてもいる。


この本が参考にした山室軍平の多くの著作は救世軍の広報でもある。当時の名演説者・執筆家として登場するのは徳富蘇峰新島襄・金森通倫・安倍磯雄など多数に及ぶ。もしあれば肉声の記録が聴きたい。
それにしても当時の山口県出身者の濃さをまたもや痛感。来日したキリスト教の宗派は数々ある中で、創設期の同志社での人脈、社会奉仕から貧困者の生活改善運動、社会主義へ派生する動き等々を流れで理解する。岡山で日本初の孤児院をはじめた石井十次とも早くから交流をしている、。時に街で見つけた孤児を送り届けてもいる・・・貧困状態で孤児院を続けてる所へ・・・。
双方の妻が早死にしてるのが気になる。負担はあまりに多き過ぎたのかと。






救世軍とは何なのか恥ずかしながらごく最近まで知らなかった。古いサザエさん四コマ漫画に描かれていた戦後間もない「社会鍋」の記憶はある。インドへ初めて旅したときカルカッタ(現コルカタ)の安宿街に欧米の貧乏旅行者が泊まる最安の宿としても知った。泊まったのはマリアやパラゴンだったけど。数年前に仕事で都内にある広めの救世軍の施設を通りかかって、ようやく日本で今も活動している団体→歳末に制服姿で並んだ子ども達が募金を呼びかけるアレと結びついた。
ヤマト運輸創始者小倉昌男(過去日記分)救世軍出身だった。