前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

廻る生贄

牛山純一 20世紀映像遺産から1973年制作【ソロモン諸島探検記 〜頭蓋骨とサメ〜】を視る。


南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島の東に位置するマライタ島沿岸に住むラオラシー村(画面には村名の表記なし)での冠婚葬祭を取材した番組。結婚式での結納?には新郎が海に潜って採ってビーズ状に加工した大量の貝貨/シェルマネーやイルカの歯のビーズが納められていた。
番組タイトルにもなっている、祖先を祭る22年ぶりの村の祭礼がなんとも不思議。
約400人の村で一軒あたり1頭以上のブタを生贄に差し出す。縛られた88頭のブタは祖先の頭蓋骨が納められている3つの小屋に運ばれる。土葬ののち掘り返された祖先の頭蓋骨が竹かごに納められ神棚のように高い場所へ置かれている下で、祖先の名前や部族の英雄の名を唱えながら鼻先から荒縄を巻き付け窒息死させる。これで西の方から彷徨っている祖霊がブタの体内に入るという。
ブタの内臓を取り出してカヌーで海へ漕ぎ出し、呪者が唱えながら祖霊が入っている内臓を海に投げ入れてサメに食ってもらう。この部族の神話では彼らはサメの一族だという。
暫らくして今度はサメを釣りあげて殺す。村へ持ち帰ってようやく料理になる。ブタとサメの肉とタロイモをこねたものを蒸して、頭蓋骨を並べた前に豊漁など色々お願いしながら供える。村人も料理を喰う。祖先の魂を身体に入れ一体化する。
12日間の祭りを終えると、頭蓋骨は石の上に置かれ風化していくのみ。儀式で使われたものは捨てられ次の竹かごが作られている。


風葬は太平洋沿岸に見られるけど、人・豚・鮫と循環させるこの儀式は珍しいと思う。


ネット検索では34年前に取材を受けた村の場所は判らなかった。マライタ島は人口密集地区らしくガダルカナル島への移民で部族衝突がある模様。一部観光ルートや津波の災害復興〜日本の稲作技術指導なども。