前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

従軍牧師

従軍のポリティクス (青弓社ライブラリー)

従軍のポリティクス 青弓社編集部 編
『従軍〜』に繋がる各テーマで複数の書き手による11章。従軍記者・ライブで視るテレビ視聴者・基地の留守家族・第二次大戦中のハリウッド映画・従軍慰安婦従軍看護婦・従軍建築家など。纏めるような結論など書かない編集も好い。
従軍記者・従軍慰安婦を扱う出版物が多いなか、前から気になっていた米軍の『従軍牧師』についての論文があった。


■第七章 従軍牧師 ―あるいは越境する聖職者 田中雅一
従軍牧師を指すチャプレン(chaplain)制度は古く4世紀から由来があるという。アメリカの南北戦争時には既にユダヤ教とアフリカ系メソジストのチャプレンが生まれている。19世紀末にはチャプレンに大卒の資格と教派の認証が必要になった。第二次大戦中の米軍には最大で8千9百人、カトリックプロテスタント系のほか、ラビ、黒人チャプレンやギリシャ正教会のチャプレンも居た。ヨーロッパ戦線に送られた日系部隊には仏教系チャプレンが認められたが、実際に従軍したのはキリスト教系だった。1987年に仏教団体(?)がチャプレン制度を承認とのこと。湾岸戦争に従軍した仏教系の数が記されていないので、仏教系の存在が分からない。イスラム教のチャプレンは湾岸戦争後に生まれている。米国政府が対外的にこれは宗教戦争ではない、と言いたい為の存在なのか勘繰りたくなる。


戦時は戦死者の葬儀一般、遺体の記録・管理をするが、平時は兵士や家族のカウンセラー役もする。厭戦気分になっている兵士の悩みを聞く、という役目も兵士からすると上司に報告されて僻地へ左遷される、という疑いがあって、そう信頼関係は簡単ではないよう。