前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

なぜ記者は戦場に行くのか―現場からのメディアリテラシー
なぜ記者は戦場に行くのか 現場からのメディアリテラシー
吉岡逸夫 著


アフガン空爆の時期に現地へ派遣された東京新聞記者が、メモ代わりに使っていた安いデジタルビデオを現場の記者仲間に向けて、クダケたインタビューをしていたら現場の混乱と取材する側の本音が採れたという副産物。考えもしなかったというミニシアター上映の状況と対談も収録。


戦争取材は火事場泥棒・難民の写真は飽きられている、とか素直に言われるとグウの音も出ない。
現地に派遣された日本の新聞社カメラマンがこの前まで『雅子さま番』だったり、ベトナム戦争サイゴン陥落と比べて今回のは絵にならないと嘆くベテランとか、会社組織と組合が記者を危険地帯へ入るのを足止めする状況なども。


タリバンが撤退した直後のカブールで、街のビデオ上映館の取材が面白い。14インチの古い日本製テレビとビデオデッキでインドの娯楽映画を約20円の入場料で40人の客に観せている。


ベトナム戦争当時に日本テレビで放送され物議をかもした有名な『ベトナム海兵隊戦記』はカメラマンの石川文洋氏が現地で独りで撮っていた事を知る。




個人的に内輪ネタは嫌いだけど、この本にはメディアを享受する側も抱き込まれる。巷でまだ健在のマスコミ悪者論とか・受け手が馬鹿だから、と言うセリフは『ムシャクシャしてやった』『仕事のストレスでやった』と同じように聞こえる。