前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

ロシアン・ダイアリー

ロシアン・ダイアリー―暗殺された女性記者の取材手帳


アンナ・ポリトコフスカヤ著 『ロシアン・ダイアリー』を読む。


2006年10月にモスクワで暗殺されたジャーナリストの日記。プーチンが大統領に再選される前のロシアでの2003年12月から2005年8月まで。
暗殺された時は日本のメディアでもニュースで大きく取上げられていた。その後の報道はまったく聞かないけど。

 
プーチン政権の暴力的な選挙戦(対立候補を誘拐して自白剤を注射)や、恐怖を伴う友好的なメディア支配の実情、チェチェン戦争が要因のテロ被害者遺族への取材、帰還兵のインタビューなどの内容も記されている。
日々の出来事が淡々と凄惨すぎる、読みながら麻痺してくる。正直言うと後半はもう集中して読めなくなった。
日本語版の副題(暗殺された女性記者の取材手帳)はわかり易い、けどなにか引っ掛かる。序文のイギリス人ニュースキャスターとやらの文章も引っ掛かる。
海外出版が世に出るのは意義があるけど、【ロシアの悲劇】で流されてしまう薄気味悪さがつきまとう。

(メモ)
ソ連時代のKGBFSBに移行しても健在なことを紹介されているなか
『パーシャ・グラチョフ効果』とは、上層部が特定の人物に強い不満を示すと(眉を動かすだけで)部下たちは自発的に動いてその人物を消す、という現象。

ロシア国内の情報管制と圧迫感は伝わる、直接は規制を受けないはずの海外メディアまでもがジャーナリストの暗殺しか伝えない『事情』が気になる、最近のミャンマー報道然り。