「乞食桃水逸話選」
- 作者: 面山瑞方,能仁晃道
- 出版社/メーカー: 禅文化研究所
- 発売日: 2001/11/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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弟子が会いたいと探しても桃水は乞食の集団の中に同化して暮らしていたり、馬用の草鞋を編んで細々と生きていたりと、古典の荘子に書かれている様な、普段から庶民の中に居て、朝廷に発見されて高職に仕えるよう請われる度に姿をくらます聖人のエピソードともダブる。
どこまで実話だったのかは分からないけど、乞食生活でも仲間の病気の面倒を見たり、死んだら自ら穴を掘って埋葬したりと集団の中に役割を見出して生きていた。人に聖も俗も、貴も賎もない、それを身を持って示していたのか、そんな意図さえ更々なかったのか。
仏教の悟りすら、最後には拘らない 禅宗の理想のひとつの到達点か。なにも持たなくとも、少なからずあのひとに会いたいと思わせてしまう「才能」があってこその俗世間への埋没だけど。