前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

苦縁 〜寄り添う宗教者たち

苦縁  東日本大震災 寄り添う宗教者たち

苦縁 東日本大震災 寄り添う宗教者たち

「苦縁 〜寄り添う宗教者たち」
未曾有の死者と行方不明者、311東日本大震災原発事故。死生観が大きく揺さぶられる時に、国内の宗教者は何もしなかったのではないか という批判を時に耳にした。当時は被災地での僧侶の働きなどを取材したドキュメンタリーがで放送されたりするまでには実際タイムラグがあった。この本で紹介された数多くの記録は、日々葬儀などで関わっている僧侶でさえも、遺族にそっと「寄り添う」ことなど到底出来ないことを思い知らされる。救援、泥かき、ようやく見つけた遺体との対面、家族の語りかけ、恐ろしいほどの無力感が伝わってくる。それでも現場で役割を探す葛藤。


宗派にかかわらず、個々人で被災地へ入った宗教者が直面した無慈悲な世界。


災害初期には遺体安置所や仮埋葬での読経や、仮設住宅では傾聴ボランティアなど、少しだけ落ち着いてからの法要も。


不作為の人災と言える原発事故で国や県にないがしろにされ、自宅で家族と安心して暮らせない多くの被災者に、年々「世間」の他人事感覚が、いわれのない中傷と共に深くなっている感じ。被災者への関心が薄れていくのは行政の怠慢と共犯関係になる。


様々な宗教団体の被災地での知られざる取り組みも多く紹介されている。
天理教「災害救援ひのきしん隊」の存在を初めて知った。全国に6千人あまりの実働隊、給水車、大型ダンプ、重機まである。


詳しく書かれている「カフェ・デ・モンク」のユニークな活動は「ご先祖さまも被災した 〜震災に向きあうお寺と神社」で知った。

ご先祖さまも被災した――震災に向きあうお寺と神社

ご先祖さまも被災した――震災に向きあうお寺と神社

父方の墓地も半数が倒れていたけど、しばらく倒れたまま放置されていた光景が今でも住職への不信感を強めさせた。そんなダメな坊主や神主だけではない事をこの本で知る。