前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

故郷喪失慰謝料とは

身近な親族のひとりから原発避難民への酷い偏見を聴く。元々ゲスな人間が「賠償金貰えて遊んでる奴ら」というイメージを吹聴しているから余計にやり切れない。仮設住宅を回って避難住民と話をしている方に、自分がいわき市出身ですと自己紹介したら「いろいろ分断されて大変ですね」と言われた。当事者の苦しみはあまりに重くて分かち合えないけど、なにか分かりやすい二項対立図に回収されるのも納得出来ない。都市住民にとっては田舎の人間へのナチュラルな偏見を愛でるネタだろう。


===========
たんぽぽ舎の東電解体講座 学習会で「解体・消滅する町、離散・棄民される人びと 〜財物賠償(土地・建物)と中間貯蔵施設問題をめぐって」伊藤久雄(NPOまちぽっと・たんぽぽ舎アドバイザー)さんの話を伺う。
都庁OBで長年土地の用地買収などの交渉に関わっていたという。これまで国・東電が帰宅困難な住民へ提示してきた資料を読み解くには専門性が必要になるので今回の一般向け解説や問題点の明示はありがたい。


年間被曝量20mSv以内という311後の高い基準をあてはめて、国は大規模除染を終えた避難区域を狭めている。それでも居住制限区域は広く残る。国の帰宅促進策は老人だけが戻り、低線量被曝の危険がある子育て中の夫婦家族は自主避難扱いになってしまう。


建物評価額について、広く立派な古民家は「経年劣化による減価」築後48年後は減価率20%という低評価。
同じ福島県内の浜通りいわき市は避難住民が多く住んでいるが、地価が上がっているので賠償金での建て替えは困難。しかも宅地面積など親子三世代で暮らしていた以前の広さは望めない。


原子力損害賠償紛争審議会は2013年12月26日に「住居確保損害」「故郷喪失慰謝料」など新たな基準を追加。しかし細かい規定は決まっていない。放射能廃棄物中間貯蔵施設案では区域の違いでは格差が更に大きくなる。


被災県の復興公営住宅建設は難航。用地所得の困難さ、職人不足、資材高騰、入札不調など。

===============


帰還する選択肢しか認めない政府や、莫大な除染費用すら払わない東電はじめ、窓口になるはずの原賠審に住民賠償を真摯に取り組むことは見込めない。県庁は単に政府の方針に従うだけの役か、避難対象の自治体は議会と首長の能力に地域差が大きい。