前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

「放射能汚染地図」の今

(P141 飯舘村のゆくえ)
村民の自宅には、こんな冊子が配布されている。
「質問:放射線って、どのくらい危険なのでしょうか?」
「答え:実効線量100ミリシーベルトで、受動喫煙や野菜不足くらいです」
これを目にしたある男性が怒りを込めて言った。
「おれたち、野菜不足で避難してるのか!」

「放射能汚染地図」の今

「放射能汚染地図」の今


東京電力福島第一原発事故直後に政府の省庁・福島県庁が放射能汚染データを公表しなかった中、各地の広範囲の放射能汚染を詳細に数値化し映像で伝えたETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」シリーズ。放射能衛生学者の著者が福島に移住するまでの3年間を記している。番組の中では二本松市放射能汚染マップ作成や、乳幼児の居る一般住宅の除染試験まで広範囲に活動されていたので番組スタッフの過労、疲弊を心配してもいた。本のあとがきにはこれまでの協力者、グループ名が多く列記されていて「ネットワーク」の厚みにも支えられていたのだなと心強く。


上記引用の飯舘村で行われた村民不在のセミナー説明会など、社会生活に必要な最低限の信頼を踏みにじっている行為は枚挙にいとまがない。
調査に訪れたチェルノブイリ事故後のウクライナで「被曝した親から生まれた子どもの8割が病気」という一部の言説には、慢性疾患のカテゴリに虫歯などもカウントしてデータを読み違えている事も指摘している。一方で子どもの出産にフクシマ出身だからという漠然とした不安と差別が、デマではなくはじまっている事も記されている。
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もし福一事故から1ヶ月の早さであの番組が放送されなかったら国営放送NHKの信頼なんて1ミリも残っていなかったと思う。河川から海への汚染では報じられることによって「不安・風評」という地元の辛い声も入れて伝える側の苦悩も伝わっていた。スピーディの詳細なデータを公表もせず「健康への影響はない」という広報ばかりにチカラを入れた中央官庁・県庁にとっては、番組製作スタッフは憎むべき存在だろうか。厚労省が早期に作成した母親・妊婦向けの安全パンフは今読み返すと、事故直後当時の認識の限界を言い訳している様な、後々責任逃れをするために抽象的に言葉をえらんで書かれているとも思える。http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014hcd-img/2r98520000014hdu.pdf