「東京電力」研究 排除の系譜
- 作者: 斎藤貴男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/31
- メディア: 単行本
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読み進めるうちに、これまで顔の分からない人達の役割が少しずつ見えて来た。311以前にも日本の原子力行政の途方も無い闇を、政治や経営者側から、あるいは原発で被曝した労働者側からのルポ、反原発を唱える清貧な論客は居た。ただこの本に書かれている内容はこれまで知り得なかった個々人の果たした仕事を紹介している。原発黎明期に日本の論壇にまで蒔かれた資金と人脈。そこに旧社民党や自民党の役割がある。
戦後の労働組合潰しと電源爆破デマ、そこには若き中曽根康弘も絡んでいる。
と言って既存のオヤジジャーナリズムとは違う。この経営者は性悪で最悪だと言わんばかりの資料のみをひけらかしたりはしない。彼らの職務の限界と、理想の双璧も読み込んでいる。
そして読者へ問いかける。このままフクシマ「犠牲のシステム」を黙認するのかと。