前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

「東京電力」研究 排除の系譜

「東京電力」研究 排除の系譜

「東京電力」研究 排除の系譜

去年2012年5月初版の労作。ひと月前に購入して咀嚼する様に読んだ。途中福島第一原発でネズミ感電が原因とされる電源喪失が起きた。無力感で笑う時期も過ぎてなお日々平静を装い続ける。
読み進めるうちに、これまで顔の分からない人達の役割が少しずつ見えて来た。311以前にも日本の原子力行政の途方も無い闇を、政治や経営者側から、あるいは原発で被曝した労働者側からのルポ、反原発を唱える清貧な論客は居た。ただこの本に書かれている内容はこれまで知り得なかった個々人の果たした仕事を紹介している。原発黎明期に日本の論壇にまで蒔かれた資金と人脈。そこに旧社民党自民党の役割がある。
戦後の労働組合潰しと電源爆破デマ、そこには若き中曽根康弘も絡んでいる。
と言って既存のオヤジジャーナリズムとは違う。この経営者は性悪で最悪だと言わんばかりの資料のみをひけらかしたりはしない。彼らの職務の限界と、理想の双璧も読み込んでいる。


そして読者へ問いかける。このままフクシマ「犠牲のシステム」を黙認するのかと。