前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

できることをしよう 〜ぼくらが震災後に考えたこと

できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと

できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと

広く一般に読まれてる本を後回しにして、震災ボランティア関連本を読んできたので今頃になった。


他の企業とは比較にならないクロネコヤマトの復興支援への取り組みは、地方紙の記事で関わり方を知ったくらいなので、まだまだ知らない人が多いかもしれない。創業者が社会的弱者救済の救世軍に居たことも、大惨事を前にして社員が避難所の物流管理を名乗り出たりと自律的に動く集団を作ることができたのかな、とも思う。
荷物一個につき10円寄付は知らない人間には微々たるものと勘違いするかもしれない、1年限定とはいえ会社の利益の4割も復興プロジェクトに回すとしたら、普通の企業はそこまでやらないだろう。寄付から税金を引かれるのを免除してもらうため官庁へ粘り強く交渉し続けるのも、これまで行政の様々な規制と戦って切り開いてきた実績があるからかもしれない。


「ふんばろう東日本支援プロジェクト」は自分もサポーターとして毎月微々たる寄付をしているけど、特に応援したいと思った、被災者の「重機免許の所得プロジェクト」が生まれる経緯を代表のインタビューで知る。話を聴いていると現地での面白い出会いが新しいアイデアを生み、それを出会い頭にぶつかった誰かがいきなりトップダウンで即実行へ繋げていく様子は、まるで無法地帯で善意だけが膨らんでいくアングルでしか見てない気もするけど、「5%は仕方がないと思っている」恐らく山の様な頓挫や失敗をした繰り返しの上で、実行できた具体例だと思う。


瓦礫や泥を被った被災地の家や側溝を片付けるボランティア団体の、スコップ団に取材者が参加した話を読んで、ボラ仲間たちの疲労してるのに充実した顔、被災地の浜辺の生活の痕跡を思い出した。


NHK PR広報Twitterの中のひととの対談では、当時の事はもちろん、次に来る首都圏直下型地震への具体的にやれる準備のあれこれも、自分の足元を守る事を思い出させてくれる。


読んだのが今になったけど、この本が出版されたのは震災が起きた年の12月、9ヵ月後。取材内容は夏の終わりまでがメインだと思う。書かれている内容は今現在求められていることとはかなり移行していると思う。震災から1年半くらいまでで読むべきだったかなと思いつつ、もっと生々しく感傷的に響いたかもしれないと思えば、さて。