前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

K-POP 青春グラフティ

先日NHK BS2で放送されたK-POP 青春グラフティ』録画で視返す。
今年続々と来日したK-POPグループのライブ映像やPVを紹介しつつ、K-POPのアジア快進撃を支える制作者たちの現場、彼らが80年代に影響を受けた日本のアーティスト、戦後日本に渡った韓国人歌手の現代史まで、恐ろしく欲張りな内容を詰め込んだ90分で驚いた。流石はNHK。放送枠に収まりきれなかった映像も是非見たい。


新生KARAの第一弾『Rock U』〜Mister〜LUPINと数多くのヒット曲を作っているハン・ジェホ キム・スンス両氏の密着取材は実に嬉しいところ。SweetuneスタジオでのINFINITE録音風景、歌番組収録やライブ直前に楽屋でRAINBOWにアドバイスするところなども。


野獣アイドル2PM、Miss AなどをプロデュースしているJYP社長 パク・ジニョンの密着取材もあり。ブラックミュージックに傾倒していた青年時代に日本のKUWATAバンド(サザン)の『Skip Beat』を聴いて心底驚いたという。


2003年まで韓国で日本の音楽が規制されていた事を説明するために、番組は100年前の日本の朝鮮支配を短く紹介。検閲が厳しかった頃に歌い継がれたアリラン日帝時代に歌手・作詞をしていたご老人のインタビュー。韓国独立後に日本の音楽が禁止され、海賊版などで人々に支持された歌に、70年代 いしだあゆみブルーライトヨコハマ』/80年代 五輪真弓『恋人よ』
90年代では安全地帯が紹介されている。(90年代の中華圏でも安全地帯のカバー曲数は多い。)


67分頃からは、今や軽く日本進出を遂げる韓国人歌手の有名な先輩たちを紹介。1960年(昭和35年)パティ・キム 1977年(昭和52年)イ・ソンエ 80年代中頃〜チョー・ヨンピル。パティ・キムとイ・ソンエは当時の日本での芸能活動を振り返っての貴重なインタビュー映像あり。



よく出来た番組だと思いつつ、少々気になったのは、K-POPの第一線で活躍しているヒットメーカーたちが、若い頃に日本の流行歌に影響を受けたという事を強調し過ぎなところ。限られた時間枠の中で日韓の親密さを強調したい製作者側の意図は重々承知でも、取材に好意的に話してくれる彼らが『当時の日本の曲に驚き衝撃を受けた』のはクラッシク・洋楽含めた古今東西の音楽全体の中の一部のはず。
日本側の根拠のない優越感や文化の影響力を過信すると、これから先も外国から何も学ばない。


著名な作曲家キム・ヒョンソクさんの語る、アジア共通のメロディー重視、マイナー(短調)好き、ひとつの仲間という説明もうなずける。言葉の異なる国の人達が同じ音楽・文化を好きになる事で、政治や経済には出来ないことを個人間でできる。親交のある『冬ソナ』の監督も、外交官が出来ないことをドラマというコンテンツひとつで〜と同じような事を言っていた。



番組のエンドロールに 取材 チョン・ウォルソン(田月仙)と出て納得。K-POP製作現場の旬の取材と共に、禁止歌から続く日韓の知られざる歌謡史を紹介していた本が番組の下地にあった。