前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

はやり言葉でわかる韓国いまどき世相史

はやり言葉でわかる韓国いまどき世相史

はやり言葉でわかる韓国いまどき世相史

70年代から東亜日報の記者だった著者が、日本から解放された光復節1945年8月15日から現在までの韓国の戦争・事件・社会現象を当時の「はやり言葉」や流行歌など織り交ぜて紹介している。短いコラムで世相史が綴られているので読み易い。内容は、ま・・・重たいけど・・・


1965年ベトナム戦争へ米軍支援のため韓国軍2万余人が派兵された、ベトナム特需などの経済効果は大きかったが戦死者・負傷者の犠牲も多かった。現在、枯葉剤被害者は2世を含めて約2万4千人とも。こんなに多いとは。


80年代の全斗煥政権下で大統領の活躍を毎日トップニュースで放送したKBS・MBCを「テジョン・ニュース」と揶揄されていた中で、野党だった金泳三と金大中の「民主化推進協議会」が視聴料納付拒否とニュースを見ない運動を呼びかけ、のちの民主化闘争へ繋がっていった。ニュースを見ない運動・・・シンプルかつ斬新で魅力的だっ。


97年のアジア通貨危機でやむをえず巨額のIMF支援を受け入れ、その後2001年8月までに返済終了した速さに驚いたけど、これにも民間の救国運動が貢献していた。韓国では生誕百日目、一歳の誕生日など人生の節目で金の指輪を贈る習慣があるそうで、タンスに眠っている貴金属を「国家の危機」を救う為にと年間22億ドルも提供されたという。

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1991年春の大学デモの中、ひとりの学生が機動隊の私服警官に鉄パイプで殴られ死亡、後日それに抗議した学生が12人も焼身自殺する広がりを見せた。抵抗詩人の金芝河は新聞コラムに「今からただちに死の賛美をやめろ・・・自殺は伝染する。烈士呼称と大がかりな葬式で、軟弱な霊魂に絶えず死の暗示を送っている。生の行進ではなくて、死の行進が始まっている」と呼びかけたが彼の真意は伝わらず、権力側におもねった「変節者」扱いを受け非難されたという。
 

 日韓は自殺者の多い国だけど、ニュースやドラマでの無垢の犠牲者・死の賛美・カタルシスといったヤリ過ぎ嗜好は困りもの。